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2013年06月05日
◎為替相場は「過度の変動」

< 当局もようやく「認識」 >

日本に限らず、世界的な統一の見解として、財務省や中央銀行など通貨当局は「過度の相場変動を懸念する」という傾向がある。したがって、今月14日に甘利経済再生相が「為替は基本的に乱高下しないことが大事」とコメントしたように、最近になり日本の要人からようやく変動についての懸念が聞かれ始めたのは、ある意味当然のことだろう。

そんな「過度の変動」を具体的に示すとどうなるのか。以前に筆者が情報交換したところでは、「大雑把に前年比10%、前月比5%がひとつのメドになる」という。

< 将来的には「歓迎しない円安」も >

いずれにしても、前段で指摘した視点で昨年9月以降の相場を振り返ってみると、明らかに「過度の変動」をたどっており、ドイツや韓国などが早い段階から円の一段安に警戒感を抱いていたのはまったく不思議なことではない。

ただ、日本サイドは「過度の変動をもたらせたのがそもそも日本の当局」と考えていたためか、一本調子の急激な円安、「過度の変動」に長いあいだ目を瞑り続けてきた。そんなダンマリの姿勢がここにきて変化し始めている。国際世論などを勘案した場合、徐々に容認出来ないレベルが近付いているのかも知れない。

しかし、経験豊富な黒田日銀総裁であればご存じのように、たとえ中央銀行であっても為替相場を100%コントロールすることは出来ない。つまり、当局が「もうこのあたりで止まってくれ」と思い口先介入ばかりか実弾介入を実施しても、本当に止まるかどうかは神のみぞ知る、ところだ。

さらにいえば、筆者個人は長期のスパンではあるものの、日本の当局が歓迎しない円安局面が確実に到来することになるだろう、と考えている。(了)



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