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2013年01月30日
◎変わる日本の需給要因

< 円全面安を後押しも >

為替市場で円の全面安が続いている。ドル/円相場は昨年9月安値を起点に考えても、すでに10%を超える上昇だ。

何故、これほどまでに円は売られているのか、ハト派が選ばれると考えられる次期総裁人事を含む日銀の金融緩和観測なども当然材料視されているが、根底にある経常需給を含む幾つかの需給要因の変化も無視できない。

< 生保の外債投資も復活へ >

かつては月間で1兆円を超えることも少なくなかった日本の貿易黒字だが、ここ最近は逆に貿易赤字を記録する機会が増えている。実際、日本貿易会は昨年12月に13年度の貿易収支は6兆79百億円の赤字となる見込みと発表している。これにはもちろん、原発の稼働停止を背景とした原油など化石燃料の輸入が増えているという面もある。しかし、もっとも大きな要因は「産業の空洞化」と言われるような、輸出企業による海外進出・移転がありそうだ。

いずれにしても、膨大な貿易黒字をバックにした輸出企業の戻り売り観測が為替市場においてはドル/円やユーロ/円の上値を強く抑制するだけでなく、ときには相場を押し下げる要因となったが、徐々にそうした環境に変化が生じている感を否めない。

また国際収支を参考にすると、12年の生保の外国証券買い越し額は3兆74百億円となり過去最高だった10年を上回った。こうした動きが今後も継続されるのかどうかが問題だが、日本国債の利回りなどをにらみつつ、今後も流れは継続するとの見方は少なくない。

さらに低金利が続くうえ、日本の安全性を背景に海外の企業や政府などによる円建て債券(サムライ債)の発行意欲は依然根強く、それにともなう円売りも無視できない要因となっている。(了)



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