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2012年05月23日
◎五輪と開催国通貨の関係

< 開催国通貨は堅調と言うが・・・ >

今年は夏季オリンピック実施年ということで、為替市場においては開催地ロンドン(英国)の通貨であるポンドが注目されている。

これは、「オリンピック開催年に開催国の通貨は堅調に推移する」---とのジンクスが指摘されているためだ。ここ最近はいまひとつ冴えないポンド相場だが、このあと開催されるオリンピックに向けて本当に上昇基調をたどるのだろうか。

< 噂は噂、過度の期待は禁物か >

インターバンクディーラーなど専門家のあいだでは当然の如く指摘される「オリンピック開催年に開催国の通貨は堅調に推移する」との噂だが、これは確かに理屈としては良く判る。

と言うのも、会場の建設などインフラの整備に巨額な資金が必要となるうえ、視聴するテレビなどの売り上げ大幅増加や海外からの渡航者増による国内消費のアップも期待されるからだ。つまり、開催国のファンダメンタルズ改善観測が開催国通貨の上昇に繋がりやすいのかも知れない。

しかし、オリンピック開催国と通貨の関係を筆者がよくよく調べてみると、巷間指摘されるほどの通貨高をもたらすケースはさほど多くない。また、開催国の通貨高が仮に起こったとしても短命に終わることが少なくないことが分かった。ともあれ、オリンピック特需は一時的であると考えた方が良さそうだ。

振り返ってみると、今回についても有力格付け会社であるムーディーズは今月初めに発表した英経済の見通しで、「オリンピックが英経済に与える恩恵は短期的」と結論付けている。これを別の言葉で言えば、英ファンダメンタルズのさらなる改善は見込めないということなのかも知れない。結果、ポンド高をあまり期待しない方が賢明だろうか。(了)



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