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2012年05月16日
◎当局の市場介入警戒感台頭
< 要人からの口先介入も >
ドル/円相場が今年2月後半以来の80円割れを記録するなか、マーケットでは政府・財務省による市場介入への警戒感が強まりつつある。
今月1日には政府関係者から「円相場、必要な場合には適宜適切に対応」、中尾財務官からも「必要なら適切に対応、緊張感もって市場を注視する」---とする口先介入が聞かれていた。当局が市場介入を実施する可能性はあるのだろうか。
< 経験則的には危険水域か >
以前に筆者はかつてFRB関係者にヒアリングした内容として「各国の通貨当局は具体的なレートやレベルよりも価格変動を注視している」と報じたことがある。そして「過度の変動」について、具体的に「「一ヵ月で5%以上、一年間で10%超の変動」とレポートした。
そんな過去の経験則を参考に足もとの相場を振り返ると、ドル/円相場は3月15日の84.17円をピークに下落へと転じており、5月1日には79.84円のドル安値を記録している。計算すると、一ヵ月半で5.4%ほどドル安・円高が進行したわけで、これは危険水域を示すグレゾーンに到達しているのかも知れない。
もちろん、だからといっていまスグに当局が市場介入を実施するとも思われないが、前段で記したような当局者から口先介入が聞かれるなど事前の「警告」が観測されることはある意味で当然と言えよう。マーケットがさらに円高へと振れるようだと、確かに実弾介入が実施される可能性は否定出来ないだろう。
もっとも、仮に当局が介入を実施しても効果は限定的との見方が少なくない。その最大の要因は日本の介入が欧米諸国の理解を得られないとの考えであり、介入も協調ではなく単独に終わる公算が大きいと推察されている。(了)
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