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2012年03月28日
◎米雇用回復は本物か?

< 非農業者雇用は大幅増続く >

今月9日に発表された2月の米雇用統計は、注目の非農業雇用者数が22.7万人増、失業率は8.3%となった。ちなみに前者は3ヵ月連続で20万人以上の増加を記録しており、米雇用環境の改善を指摘する声も少なくないようだ。

< 考慮したい「米大統領選」という特殊事情 >

四年に一度実施される米大統領選と米雇用統計、なかでも失業率がある一定の相関性を持つことは良く知られている。具体的に言えば、米大統領選には「失業率6%が再選の壁」というジンクスがあるという。

事実、過去40年間に現職が再選をかけて臨んだ大統領選は合計7回あったが、失業率が6%を超えている状況で現職が勝利したのは84年のレーガン(当時)のみ。また、再選を果たしたレーガンにしても当時の失業率7.2%は確かに期待を裏切る数字だったが、選挙以前18ヶ月間で失業率をトータルで3%も低下させており、「米国内の雇用を大幅に改善させた」というイメージが再戦に寄与していたことを頭に入れておく必要がある。

その一方、ここ最近の米失業率を見てみると、09年10月の10.1%をピークにそれからしばらくは9%後半での高原状態。現職のオバマ大統領にとっては、再選に黄色信号どころか赤信号が点灯している状態だったが、10年末から劇的な低下をたどると、最新の数字では8.3%まで低下している。これは先に記したレーガンの再選を彷彿とさせる急回復で、大きな追い風になりかねない。

様々な米経済指標をみると、米国景気が回復していることは確かなのだろうが、今年が米大統領実施年という特殊な事情を鑑み、眉に唾付けて多少割り引いて解釈すべきであるようにも思われる。(了)



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