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2012年03月14日
◎3月半ばまで本来は円高有利

< 昨年はピタリ経験則通り >

季節的な要因として、2月中旬から3月中旬に掛けての為替市場は円高に振れやすい傾向がある。

実際、昨年のドル/円相場を見てみると2月16日の84円レベルをドルのトップに、3月17日に記録したボトムの76円台まで、約一ヶ月のあいだに大きくドル安・円高が進行しており、ピタリ経験則通りの値動きだった。

< 今年はむしろ逆に円安進行も? >

これには大きく2つの需給的な要因が影響しているようだ。ひとつは通常月よりも多い米債の償還にともなう円転観測で、もうひとつは3月期末をにらんだ日本勢のリパトリエーション(海外利益の自国還流)になる。

しかし、今年の相場は色合いの異なる様相を示しており、過去の経験則が適応できるかどうか未知数だ。と言うより、2月半ば以降ここまではむしろ逆に円安が進行していると言ってよく、このあと月の半ばに掛けてドルはさらなる上値を試す展開も否定出来ない。

では何故、今年の相場に季節的な円高が適応されないのか。こちらも考えられる要因は大きく2つある。順に説明すると、ひとつは以前にも指摘したことがある「日本の貿易黒字構造の変化」で、もうひとつは「ヘッジファンドや米事業法人などによる円キャリートレードの復活思惑」だ。

後者についてのみ若干の補足を付け加えると、先日の金融政策決定会合で日銀が追加の金融緩和に動いたことを受け「円は資金調達通貨としての魅力を増した」---などとする専門家の解説は確かに少なくない。

足もとの動きだけを見ていると、後者の円キャリートレードがすでに復活しているとは思えないが予断は許さない。円高のもっとも進みやすい時期の円安進行に今年は注意しておくべきかも知れない。(了)



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