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2012年02月29日
◎思惑呼ぶ「介入レベル」明言

< 安住財務相が口滑らす? >

ここ最近の為替市場で話題を集めている要因が大きく2つある。

ひとつは、「昨年の日本が東日本大震災や円高などの影響で31年ぶりの貿易赤字を記録した」ことであり、もうひとつは安住財務相が衆参予算委で述べたとされる「1ドル=75.63円の時点で介入を指示し、78.20円で辞めた」とした発言だ。

< 火消しに動くが効果は未定 >

前者については、確かにこれまで長いあいだ潜在的な円高支援要因とされてきた広義経常需給の変化が見込まれる重要ファクターだけに、昨年の赤字は一過性の動きつまりはイレギュラーであったのか、それとも今後は継続的な赤字となるのか長期スパンの相場を見極めるうえでも大いに関心を払う必要があるだろう。

それに対して後者は、もっと喫緊な観点で注視されている。最近こそ財務省が市場介入の実施日時や金額を公表しているが、かつてはマーケットで推測するしかなかった。だからこそ介入と思しき「怪しい」動きには一喜一憂したものだ。ましてや当局が市場介入を実施したレベルなど秘中の秘で、今回の発言は事実とすればきわめて異例といえる。

もっとも、発言後に安住財務相自身もコメントの重さに気が付き、「水準は一切言っていない」「介入前後の為替相場を確認することが発言の趣旨」などと連日の火消しに動いているが、真偽はともかくレベルだけはしっかりとマーケットの参加者の頭に刷り込まれた感を否めない。

そのため、一部のインターバンクディーラーからは「輸入企業など実需筋からは78.20円レベルを意識した動きが観測されている」などとする発言も聞かれている。「ときすでに遅し」であるのかも知れない。(了)



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