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2011年08月24日
◎米国は介入容認も?

< 欧州からは否定コメント >

先週の当欄で4日に実施した日本の政府・財務省介入はサプライズだったが、内容的には失敗だったのではないか、との見方を書いた。

そうした状況下、トリシェECB総裁から日本の介入について否定的なコメントが発せられたことは御存じのとおり。欧州からの賛同が得らないため、当局が次の介入に踏み切れないとの声も市場の一部では聞かれている。

< 介入で得たドル資金が米財政赤字をファイナンス >

しかし、話を欧州ではなく米国サイドだけに限れば、「日本の介入を実は容認している」---などとする見方もインターバンク・ディーラーの一部で存在している。

これが正しいのかどうか確かめるスベはないものの、一応の傍証はある。それは先日有力格付け機関であるS&Pが発表した米債の格付けの引き下げだ。

米国の場合、日本とは違い財政赤字の多くは海外勢によってファイナンスされているが、格下げにより暗雲が立ち込めてきた。事実、最大債権国の中国からは追加の米債購入に慎重な意見なども多く聞かれている。

ところが、日本のドル買い・円売り介入は実施されたあと、基本的にドル資金で米短期債を購入し運用する。格下げで米債の積極的な買い手が今後減少する可能性がある状況下、米国にとって日本(の市場介入)は実はこのうえない有り難い存在と言えよう。

市場介入で得たドル資金が米国の財政赤字をファイナンスする、つまりは自国のためになる「日本の円売り介入」を積極的に支援することはなくとも、前述したトリシェ総裁のように否定する行動には動くことはないのかも知れない。その点では、米国による「消極的な介入容認」姿勢がしばらく続く可能性もないではないだろう。(了)



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