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2011年06月01日
◎米国のデフォルト危機

< 債務残高が法定上限に >

米連邦政府の債務残高が急増しており、米財務省は今月16日に法律で定める上限(14兆2940億ドル)に達したとの発表を行っている。

以前ほどの威光がうかがえないとは言ってもそこは米国、「腐っても鯛」だろう。世界のトップを歩むだけにデフォルト(債務不履行)は俄かに予想しにくい出来事だが予断は許さない。

< ドル高抑制の一因に? >

御存じのように、日本は政府の債務残高に法定上の上限がない。対して米国は事情が異なり、連邦政府の債務について法定上限がキチンと決定されている。上限を超える国債の発行は出来ない。

そうしたなか、01年の同時多発テロ以降戦費が急速に拡大したことで米国の債務は急増、以降なんどか国債の発行危機に見舞われている。危機を回避するもっとも単純かつ即効性のある解決策は法律で定められた債務上限を引き上げることであり、実際に今年の1月にも引き上げが決定されている。

しかし、先にも記したように米財務省によると米国の債務は1月に引き上げられたばかりの法定上限に達するなか、米議会での与野党対立により債務残高の法定上限をさらに引き上げるメドが立たない状況に陥っている。

もちろん、米国の民主党も共和党も馬鹿ではないので、最後の最後には妥協して帳尻を併せてくる公算が大きいことは間違いない。ただし、仮にデフォルトといった最悪の事態を回避できたとしても、一連の過程で危機の深刻化を感じれば国内外の投資家たちは米債投資を手控えるばかりか、これまで購入してきた米債を売却する可能性などもないではない。

積極的なドル高シナリオを見込みにくい要因は、存外そのあたりに潜んでいる気がする。(了)



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