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2011年03月02日
◎期末に向け需給はスクエア?

< 通常は「リパトリ」による円買い優勢だが・・・ >

2月中旬から3月中旬に掛けて為替市場は円買いがやや優勢になる傾向がある。

これは以前から何度かレポートしているように、2つの季節的な需給要因が影響している。ちなみに、ひとつは通常月よりも多い米債の償還にともなう円転観測で、もうひとつは3月期末をにらんだ日本勢のリパトリエーション(自国への資金還流)になる。

しかし、今年の相場は若干色合いの異なる様相を呈している。需給的にも2つの円売り要因が浮上しており、前述したリパトリなどによる円買いを相殺しているようだ。

< 投機筋は円キャリー再開か >

以下で簡単に順を追って説明すると、ひとつは「ヘッジファンドや米事業法人などによる円キャリートレードの復活」だ。これは単なる思惑だけでなく傍証もある。

先日の日経新聞が報じたところによると、米金融大手のJPモルガン・チェースが総額1111億円の円建て外債(サムライ債)の発行を決めたという。ちなみに米銀によるサムライ債の発行は金融危機以降で初めてのこと。

ご存じのように、起債により調達した円資金を日本国内で使用すれば為替取引は発生しないが、米国内での活用となれば為替市場でドル買い・円売りが発生する。つまり、「低金利の円調達の高金利通貨(ドルなど)運用」で立派な円キャリートレードだ。
同様の動きは2月以降幾つか観測されており、需給的には円安要因になりかねないものとして注視されている。

もうひとつの要因は「国内勢による外貨建て投信の販売好調」で、こちらも潜在的な円安要因として無視できない。
実際、投資信託協会が発表している投信概況によると昨10年の外債ファンドを中心とするバランス型は1兆円を超える純流入を記録、その傾向が今年も続いているという。(了)



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