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2010年10月20日
◎円高メリットの享受
< 積極的な海外企業のM&Aも >
ここ最近、堅めの週刊誌などで「円高メリット」を取り上げるものが目に付き始めた。
それも内容は、従来の主流だった「円高で輸入品が安くなる」とか「海外旅行に追い風」---などといった個人ベース・消費者目線のものではなく、企業ベースの視点から「海外企業が安く買える」という論調が少なくない。
また、民主党を中心とした政府サイドからも同様の意見が聞かれている。
< 90年代初頭の二の舞を懸念する声も >
東京商工リサーチの調査によると、主な上場メーカーの期初時点の想定為替レートは1ドル=90円とした先が8割にものぼったという。
その反面、足もとの為替レートは82円程度で実に8円もの乖離がある。業績に与えるダメージが懸念されるのも当然と言えよう。
個人ベースではともかく、貿易黒字国である日本は前述したように企業ベースではどう見ても「円高デメリット」が大きいが、ここにきて円高を逆に上手く利用しようという意見が声高になってきた。その最たるものが「安い海外企業を積極的に買収しよう」になる。そして実際、トムソン・ロイターの発表では今年1〜6月期の海外企業のM&Aは1兆5千億円となり、すでに前年同期比54%増を記録しているという。
確かに気持ちは判らなくないが、かつて90年代初頭などに行ったM&Aがどういった顛末をたどったのか、もはや忘れたのだろうか?
日本の企業が買い取ったあと、内部を綺麗にクリーニングしキチンと再生させたものの、その後結局手放すことになった案件がなんと多かったことか。つまり、結果からすると日本のおカネは、ここでも海外勢に上手く利用されただけだったことになる。今回の同様の展開をたどる気がしないでもない。(了)
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