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2010年06月30日
◎為替デリバティブの損失急増

< 損失被り倒産の企業も多数 >

先月末、帝国データバンクが興味深い調査を発表した。

それは「デリバティブ損失関連の倒産動向調査」というもので、内容的には通貨オプションなどを含めた為替デリバティブの利用が裏目となり倒産に至った企業の調査がまとめられている。

< 関連損失による倒産は09年以降で17件 >

調査内容を実際に見てみると、まず03年から10年4月までのデリバティブ損失関連の倒産は24件だったが、うち17件、全体の7割強は09年以降に発生している。それも、今年は1−4月だけですでに8件発生しているという。

また、07年までは資産運用目的など、ややリスクの高そうなデリバティブ取引から損失を計上するパターンだったものの、以降は輸入企業などによる為替取引にともなう通貨オプションのデリバティブ取引、つまりは比較的安全性の高そうな取引にもかかわらず損失を計上するケースが急増中だ。

ちなみに、09年の9件中6件、10年の8件中7件が為替取引にともなうデリバティブ取引だったと調査では報じられている。

倒産に至った先が具体的にどのようなデリバティブ取引を用いていたか知るすべはない。しかし、投機目的ではなく、たとえば「フラット為替」と呼ばれる為替リスクを軽減させるための手法を導入していたハズなのに、結果として逆に傷口を広げた先も少なくない現実は泣くに泣けないだろう。

なお、レポートは「昨今においても、欧州不安から円高基調で推移する可能性もあり、今後もデリバティブ損失の発生から行き詰るケースが増える可能性がある」---と警告を発してまとめられているが、それについては筆者もまったく同じ懸念を抱いている。(了)



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