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2010年06月02日
◎ECB為替介入の可能性は

< 一部で思惑取り沙汰されるが・・・ >

ECBによる為替介入期待などが一部で取り沙汰されはじめた。

背景になっているひとつの要因はユーロのレベルで対円、ドルとも08-09年に示現した数年来の安値圏に位置していること。そしてもうひとつは、先日ECBなどが国債市場への介入などを発表したことで、そのなりふり構わぬ手腕が為替市場にも広がる可能性が警戒されているのかも知れない。

しかし、実際の行動に移せるかどうかは微妙。国債市場への介入とは異なり、為替市場への介入実現はそう簡単でないようだ。

< 制約多く機動的な対応取りにくい >

意外に知らない方が多いのだが、同じ中央銀行とはいえECBの場合には日銀やFRBなどと異なる点が幾つもある。したがって、ECBの場合には環境が整ったからといってスグに市場介入が実施できるわけではない。

一例を挙げると、ECBも当然のように外貨準備高を保有しており、金額的にはおよそ1700億ユーロ規模になるが、実は自身で保有している資金は300-500億ユーロ程度にしか過ぎない。残りの1000億ユーロ以上はユーロ圏それぞれの中銀が分散して保有し、同時に運用も行なっている。

また、市場介入実施のタイミングなどについての権限はECBに委ねられているものの、一方でEU財務相が「為替の方向性を決める権限を保有している」ため、ECBはEU財務相とある程度すり合わせの協議をすべき立場にあると言われている。

以上のように例を挙げた2つからだけでも、ECBが独断で動ける余地は限られる。もちろん、「出来ない」ということではないが、機動的な対応を取りにくいということについては判っていただけるのではと思う。(了)



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