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2010年05月26日
◎輸出企業の海外生産シフト

< 為替変動受けにくい体質に >

トヨタなど国内の自動車大手8社が発表した「09年度の生産、販売、輸出実績」はなかなか興味深い内容となった。たとえば、各社とも国内生産が大きく落ち込む反面、海外生産が伸びている。

理由は幾つもあろうが、海外生産を増やした結果、自動車大手が為替の変動を受けにくい体質になりつつあることは間違いなさそうだ。

< 代表的な外貨売り手に変化も >

自動車大手8社が発表した「生産、販売、輸出実績」によると、09年度の国内生産は856万台となり、前年比で10・3%のマイナスとなった。それに対して、海外生産は1115万台となり、同9・1%のアップとなっている。07年度に国内と海外の生産数が逆転して以来、両者の差は広がり続けているが、09年度はそれがさらに如実に示される格好だった。

各社が海外生産の増強に動いている理由のひとつは為替の問題だ。実際ここ1年半ほどのドル/円相場は1ドル=100円以下の円高レベルにほぼ定着している。公称では1円の円高進行で10億円を超えるダメージを受ける先も多いだけに、そんな円高のダメージを幾らかでも軽減しようとして海外生産に切り替えている先が少なくないという。

また、もうひとつの大きな理由としては、人件費の安さなどに加え先々の販売増をにらんだ動きから、新興国そのものでの現地生産シフトを急いでいることがある。そのため、米国などの生産よりも中国をはじめとする新興国の生産が急速に伸びており、また今後さらに新興国シフトが強まるとの見方も少なくない。

なお、そうした状況もあり、かつての自動車大手といえば為替市場でドルを中心とした外貨の代表的な売り手として名を知らしめた存在だったが、そんなイメージはだいぶ変わってきているのかも知れない。(了)



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