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2010年03月31日
◎高まる人民元切り上げ圧力
< 中国、為替操作国の認定は >
4月15日に公表される為替半期報告に向けて、米国では中国の「為替操作国認定」機運がかなりの高まりを見せている。傍証はいくつもあるのだが、以下で2つの事例を取り上げてみたい。
複数の通信社報道などを総合すると、まず米下院の歳入委員会は今週24日に公聴会を開催し、中国の為替政策が米国や世界の経済に及ぼす影響を調査する見込みだという。また、もうひとつは米超党派の議員130人が中国の為替操作国認定を財務省に求める書簡を送付---したことになる。
< 中国サイドからは強い反発 >
改めて指摘するまでもなく、以前から不当に安い人民元が米国の産業にダメージを与えているとの話は、そこここで話題になっていた。実際、オバマ大統領は今月上旬に「より市場に基づく為替レートへの移行で、中国は世界経済に重要な貢献をする」などとし、実質的な切り上げを催促するコメントを述べている。
そうしたなか、中国サイドは米国からの圧力を強くけん制しており、今月14日の全人代閉幕後の会見で温中国首相は「強制的な方法で切り上げを迫るやり方には反対する」としたうえ、その後も中国商務省の報道官が「自国の輸出拡大のため、他国に通貨の切り上げを強要するのは利己主義」などと発言している。
一方で、ここにきての中国人民元相場に限らず、「日米自動車摩擦」などという言葉さえ聞かれた過去90年代を振り返っても、一部議員などから強い調子の為替不均衡是正、つまりは通貨切り上げの圧力が強かったものの、肝心の「為替半期報告」でその旨の認定がなされたことは過去にない。
それからすると、「為替半期報告」で中国を為替操作国として認定するハードルは思いのほか高いかも知れない。(了)
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