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2010年03月24日
◎思惑広がる「為券」の発行増

< 145兆円へ5兆円増額 >

日本の財務省が発表した「外国為替資金証券(通称;為券)」の増額がマーケットで話題となっている。

基本的なことを最初に指摘しておくと、政府・財務省が為替市場で介入をする際には原資がいる。ドル売り(/円買い)介入など外貨を売る場合は当然として、意外に知らない方が多いのだが、それがたとえ自国通貨である円売り介入であっても同様だ。円売り介入するための「円資金」をまず調達する必要がある。

では具体的にどうやって調達しているのかというと、財務省が「為券」を発行し、それによって得た資金が円売り介入の原資になる。したがって、政府・財務省は自国通貨の「円売り」市場介入であっても、無尽蔵に実施できるわけではない。何故なら、「為券」の発行額が決められているため、市場介入の出来る金額は最大で発行額の上限までということになるからだ。

そして発行額上限がこれまでの140兆円から今回145兆円と5兆円増額されることが確実になった。

< 海外勢に高まる介入警戒感 >

その一方で財務省発表のデータを見ると政府・財務省は04年3月を最後に一度も為替市場介入を実施していない。

別の言い方をすれば、過去6年ほどは一度も為券を発行する必要がなく、まだ発行枠はおよそ30兆円程度残していると推測される。すると、今回なぜ5兆円の増額をする必要があるのかという疑問は残るだろう。

増額の真意については定かでないものの、財務省が為替市場介入の可能性を明確に示唆し、そしてマーケットでは海外勢を中心として警戒感が高まりつつあることも確か。円高の抑止力と言うことでは一定の効果を表した。今後も当局のスタンスには注視をしてみていきたい。(了)



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