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2009年05月27日
◎資産査定へのダメだし

< 「審査の甘さ」観測急浮上 >

個人的には「なにをいまさら」---と思うけれども、ここにきてFRBなどが実施した米系金融機関への資産査定、いわゆるストレステストについて「審査が甘かった」などとする声が急浮上している。

ちなみに、この件について、筆者は弊社の正規レポートで報じており、その一部を抜粋すると「今年4月にIMF(国際通貨基金)は大手米銀の損失が総額2750億ドルに達すると試算していたが、今回のストレステストの結果は大手10行で約750億ドルに留まっている」---。

両者の試算の前提が同じではないにしても、IMF試算の3割以下という金額は如何にも少ないと思われるのだがこれは筆者のみの感覚なのだろうか?

< 数値改ざんの疑惑も >

一方、そうしたなか、単に「審査が甘かった」というだけでなく、数値改ざん疑惑も浮上しているようだ。

実際、有力欧米紙のウォールストリート・ジャーナルは、今月9日のウェブ版で「FRBは7日の公表直前に資本不足を大幅に圧縮していた」としたうえで、「少なくとも19行のうち半数が資本不足額を圧縮させた」とも報じている。
また、これに近いニュアンスについて著名な経済学者であるクルーグマン博士も自身のブログで示唆するなど思惑が広がっている感は否めない。

真相は藪のなかで、事実かどうかを確かめるスベはないが、少なくとも「検査を厳格に実施した」というFRBと、審査結果に疑問を抱く金融マーケットの受け止め方の温度差はかなり大きなものとなっていることは間違いない。

もとからストレステストの結果公表で楽観論一色になるとは考えられていなかったとは言え、金融当局にはマーケットから厳しい「ダメだし」を突き付けられたと言えそうだ。(了)



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