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2009年04月01日
◎通貨切り下げ合戦

< スイス中銀の介入で表面化 >

世界各国で自国通貨の切り下げ合戦が鮮明化され始めた。

以前から局地的には指摘されていたものだが、先日SNB(スイス国立銀行)がスイスフラン売りの市場介入に動いたため、一気に表面化した。

また、そのあとに実施されたG20(20ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)において、「通貨切り下げ競争に関する議論はなかった」(終了後の会見でダーリング英財務相)ことが思惑にさらなる拍車をかけている面も否めない。

< 日米欧は現段階で参戦せず >

そんな通貨切り下げ合戦を指摘するうえで外せないのは、英国だろう。
判り易いように、要人発言を幾つか拾ってみると、2月3日にはダーリング財務相が「ポンドの下落は英国の輸出を支援する可能性がある」、同月9日にはブラウン首相が「ポンド安は英国の競争力を高める」とコメントするなど、英国は一定のポンド安を歓迎、そして容認しているようだ。

一連の英国のスタンスが国際的に非難を浴び、「2月のG7でポンド安が議論される」---などと目されたものの、フタを開けたら結局不問。ウヤムヤのまま、なんとなくポンド安が世間的にも容認されてしまったかのような雰囲気がうかがえる。そうなると、馬鹿をみるのは「まとも(?)」な為替政策をとっている他の国々だろう。そのなかから、早々とスイスが離脱したとしても、なんら咎められる筋合いではないようにも思う。

英国やスイスなどで見られる「通貨切り下げ合戦」の動きに米国や日本あるいはユーロ圏などが参入する気配はいまのところ見られない。しかし、米国を中心に保護主義の動きが強まりつつあるだけに、その効果を挙げるセットとして通貨切り下げをチョイスする展開には注意する必要がありそうだ。(了)



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