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2009年03月18日
◎相次ぐデリバティブ損失

< 表面化は氷山の一角か >

企業や学校法人による為替取引の損失発表が相次いでいる。一例を挙げると、外食チェーンのサイゼリア、通販会社のニッセンホールディングス、カタログ通販のベルーナ、そして駒沢大学など。
それぞれが十数億円から百数十億円にも及ぶ損失を被ったという。

ただし、それらは氷山の一角で、専門家によると、表面化しない隠れた損失を有している先は少なくないとされる。とくに宗教法人や医療法人などでダメージを負っている先が少なくないとの声も一部関係者からは聞かれていた。
実勢相場の動き次第という面もあるが、今後の動向が懸念されるところだ。

< 先達の失敗を教訓に出来ず >

何故、こうした巨額な損失を被ったのかといえば、そのひとつはデリバティブ取引だ。実際、駒沢大学の場合、通貨スワップや金利スワップを用いた商品などでダメージを被ったとされている。

それとともに、損失の一端を担っているのは超長期の為替予約だろう。通販会社のニッセンホールディングスやカタログ通販のベルーナなどの損失は、こちらに相当する。

ちなみに、後者については、かつて80年代に日本航空など航空大手が超長期の為替予約で手痛い損失を被ったことがある。筆者が金融業界に入った92年段階でも、その後遺症に悩まされていたことがまざまざと思い出される。

そんな先達の失敗を、どうして教訓に出来なかったのだろうか。残念でならない。
ともあれ、かつての日本航空などもそうだし、最近のサイゼリアや駒沢大学などのケースを見ても、経営者をはじめ内部にリスクを十分に理解していた向きのいなかったことが最大の原因であるように思う。リスク管理体制の徹底が臨まれている。(了)



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