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2009年01月21日
◎欧州向けガス供給に注目

< 露の供給停止で欧州危機に >

東京市場ではピンとこないのか、あまり材料視されない傾向があるものの、先週報じられた「ロシアがウクライナ経由の欧州向けガス供給を全面停止」とのニュースは金融市場にとって非常に重要だ。

本稿執筆段階、ロシアとウクライナが協策を検討すべく両国が会談を実施、欧州向けガス供給の再開で当面の危機は回避される見通しになった。しかし、構造的な問題は依然解消されていないなど、状況には引き続き脆弱さが残る。厳冬期を迎えている欧州のエネルギー事情には、引き続き注意する必要がありそうだ。

< 動向如何でユーロ売りに? >

まず簡単に動きを整理すると、ウクライナには欧州向けのパイプラインが4本あるが、すでに3本が閉鎖されており、稼働は1本だけだった。その最後の1本が今月7日に閉鎖され、「欧州向けガス供給を全面停止」されたことになる。

発端はウクライナがロシアの天然ガス供給大手『ガスプロム』に対して支払いを停止したこと。それに対してロシアサイドは供給をストップするという報復措置に動いたわけだ。

いうまでもなく、天然ガスは原油などと並ぶ、重要なライフフランのひとつ。ガス供給停止で厳冬期にある欧州のエネルギー事情は急激に悪化している。一部の報道によると、EU加盟国27ヵ国のうち、17ヵで影響が出ているという。つまり、問題は単なる「2国間」に留まらず、欧州全体を取り巻く大問題となっていると言えよう。

前述したように、その後の会談で若干の進展は見られたものの、根本的な解決までには至らなかった。両国間の対立が再び欧州のエネルギー危機を招きかねない懸念は残る。状況次第では、為替市場においてユーロの売り要因となりうる危険性を秘めている。(了)



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