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2008年12月17日
◎目立つ人民元の急落

< 中国当局は通貨安容認か >

中国の通貨人民元がここのところ急落している。
たとえば、先週4日に中央銀行である中国人民銀行の発表した対ドル中心レートは、1ドル=6・8502元だったが、実際の取引では変動幅0・5%を加えたレンジの下限6・8845元まで下落する局面が観測されていた。

何故こうしたことになっているのかというと、最大の要因は中国国内の景気刺激を目的として、当局が通貨安を容認している可能性だ。

年率で10%を越えていた中国国内の成長が急速に鈍化していることは周知のこと。それに向け、中国は先日も1%を越える大幅な利下げを実施しているが、それだけは足らないと考えて、今度は通貨安誘導による景気浮揚効果を期待していると考えられる。

< 国際世論に逆行の動き >

そうしたなか、一部の金融市場参加者やエコノミストのあいだからは、中国は一般的に認識されている「通貨の切り上げ」ではなく、逆に」通貨を切り下げる」のではないか、などといった思惑すら聞かれるようになってきた。

しかし、一方で、米国を中心に欧州などからも中国に対して強い通貨切り上げ圧力がかかっていることはご存知のとおり。事実、G7などの国際会議における「声明文」でも中国を名指ししての通貨切り上げが言及されたことは一度や二度ではない。
ともかく、最近の人民元相場は国際世論に明らかに逆行した動きといえるわけだ。

ここ最近の人民元急落、個人的には米政府とくにオバマ次期政権に対する揺さぶりと見ている。もう少し言えば、中国に人民元政策で過度な圧力をかけるなという警告を発したものと考えるけれども、中国は外交上手、かなりのしたたかさを備えた国であることを忘れてはいけないと思っている。(了)



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