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2008年11月05日
◎台頭する介入期待、実施するなら日銀単独

今週はじめの27日、意外なタイミングでG7の緊急声明が発表された。
そのなかで、「最近の円の過度の変動を懸念」---などといった文言が見られたこともあり、マーケットでは日銀による市場介入への警戒感が急速に高まっている。「伝家の宝刀」をいつ抜くのか、そのタイミングには是非とも注意を要したい。

ちなみに、そんな日銀をはじめFRBやECBなど各国の中央銀行が市場介入を実施する際には、3つの要因があると言われている。

紙幅の関係もあるので、ごくごく簡単に3つを説明すると、まずは絶対的な通貨のレベル、そして中央銀行は「過度の変動」をことのほか嫌うため通貨の変動率、そして最後に介入の効果が挙げられる局面かどうか---になる。

そうした視点から足元の相場を振り返ると、「レベル」と「変動率」については必要十分条件として揃っているものの、最後に指摘した「効果」についてはやや疑問もなくない。介入実施に必要な3要因がすべて揃っているかどうかには疑問も残る。

ただし、FRBなど欧米の中央銀行を除き、日銀のみでは3番目の要因である「効果」うんぬんを抜きにして市場介入を実施することも、過去には決して少なくなかった。
そうしたなか、フランスのラガルド財務相が「G7は円に介入する計画がない。日本の当局が介入するとすれば、それは日本の単独介入となる」と発言しているけれども、まさにその通りで飽くまでも当初は協調での介入は見込みにくいと言わざるを得ない状況だ。

いずれにしても、日銀の単独介入については、ある意味いつ実施されてもおかしくはない状況にある。

しかし、日銀による単独介入の場合、一過性の効果はともかく、持続性には疑問が残るところだろう。逆に、日銀が単独でしか介入できないことや、目立った効果が挙げられないことがマーケットで明らかになった場合には、足元を見透かしたヘッジファンドなどの投機筋が円買いの攻勢を再び仕掛けてくる可能性もある。

つまり、日銀の単独介入は「抜かずの宝刀」のまま「温存」することが結果としてもっとも好ましいと思われるのだが、果てして日銀は介入実施を「我慢する」ことが出来るだろうか?(了)



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