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2008年10月22日
◎50年に一度の大相場、荒い値動き当面続く公算
為替市場だけに限らず、株式や債券、商品などほとんどすべての金融市場が歴史的な価格変動を示している。
いささか余談めいた話をすると、筆者がこの業界にはいったのは92年のことであり、いわゆる「欧州通貨危機」の起こった年だった。ヘッジファンドなど投機筋の執拗なポンド売りを受けてERMと呼ばれた当時導入されていた欧州通貨バンド制の下限を割り込み、著名投資家のジョージソロス氏が英国の中央銀行である「イングランド銀行を打ち負かした男」などとして、一躍有名になった年だ。
そんなことで、92年はポンドやユーロの前身である独マルクなど欧州通貨を中心に大荒れの展開をたどったが、価格変動だけを取り上げれば今年は当時に匹敵、あるいはそれ以上。業界歴16年の筆者でも初めて経験する「大相場」と言えそうだ。
懇意にしているベテランディーラーのなかには現在の相場を「50年に一度の大相場」---などと指摘する方がいるけれども、確かにそんな気がしないでもない。渦中にいるとなかなか判らないが、のちに振り返ると今年は「歴史に残る一年」だったと考えて間違いないだろう。
さて、そんな特異な年にあたる今年もっとも懸念されている材料といえば米国発の金融危機になる。
米国の上院に続き下院においても難産の末に金融案化法案が取り敢えず可決、公的資金7000億ドル(1ドル=100円で70兆円)で金融機関から不良資産を買い取ることが決定した。しかし、そこが「ゴール」ではない。
むしろ、具体的な買い取り価格や買い取り対象などについてまだまだ詰めなくてはならない要素がたくさん残っている。さらに、かつての日本のケースを例にとれば、金融危機がジワリと実体経済に影響をはじめたことで、当初は優良だった資産までもが不良債権化し、信用収縮はさらに高まったという経緯がある。再建はまだ入り口に立ったばかりで解決に向けた問題は山積み状態にあると言わざるを得ない。
そして、日本のバブル崩壊が象徴するように、過去の大相場は影響が予想以上に長期化するということも実は少なくない。つまり、価格変動においても簡単に収束せず、今年についてもまだしばらく、荒れた値動きが続く可能性を否定出来ないだろう。(了)
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