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2008年09月17日
◎ア系中銀の防衛介入、ドル/円の円安要因に

韓国を筆頭にフィリピンやタイ、インドネシア、マレーシアなどアジアの中央銀行による断続的な自国通貨の防衛介入が観測されている。
実際市場では、8日、9日と韓国中銀によるウォン買い・米ドル売りの市場介入を実施したとされている。

韓国などアジアの中銀がなぜ活発な市場介入を実施しているのかというと、最大の理由は通貨安にともなう輸入インフレを嫌気してのようだ。
状況的には日本も似たようなものだが、原油や穀物価格の上昇によりアジア諸国は国内のインフレが最近急上昇している。それを幾分なりとも抑えることを目的とした通貨安へと誘導するために為替市場介入が断続的に実施されているという。

さて、そんなアジアの中銀による自国通貨買い介入は、かなり巨額で実施されているとの見方がある。たとえば、いささか旧聞になるけれども、7月11日付けの日経新聞では同月8日と9日だけで韓国中銀は「60〜90億ドル」という大規模な市場介入を実施した可能性があると報じられていた。
そんな為替市場で実施される自国通貨の防衛市場介入は、原則として介入を実施する当事国と介入対象通貨を有する二国のみの問題。つまり、韓国中銀の場合で言えば本来は韓国とドルを有する米国との問題---になる。

しかし、アジアの中央銀行の場合には、話はそれほど簡単ではない。
なぜなら、アジアの中央銀行が介入する際には、保有する外貨準備のドル建て資産の取り崩しを実施するとともに、日本とのスワップ協定で円を借り入れ、さらにそれを原資とし為替市場で「ドル買い・円売り」を実施して介入用のドル資金を調達する必要が生じるためだ。

したがって、いま一度韓国中銀を例に挙げると、市場で実施されるオペレーションとしてはまず「ドル買い・円売り」が実施され、そこで得た資金を元に「ウォン買い・ドル売り」を実施していることになる。

ということは、韓国中銀による自国通貨の防衛介入はドル/円での円安を増長させかねないリスクを孕んでいるとも言えまいか?
通常のドル/円取引とは、一見相関性のうかがえないアジアの中銀による市場介入にも、もっと注意する必要があるのかも知れない。(了)



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