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2008年08月20日
◎上値メドは111円台、突破するとドル高加速も

ドル/円相場は先週末にかけて110円を突破してきた。年初来高値である112円レベルも視野に捉えられてきたが、いったいドルの高値メドはどの程度なのか。筆者の好きな分析方法である「取引の価格分布帯」をもとに、以下では考えてみたい。

本来、グラフを見れば一目瞭然なのだが、「取引の価格分布帯」では108円台の取引が突出して多い。変動相場制以降、108円台での値動きは実に200日近くを数え、これは歴代トップだ。
また、その108円台を挟む104〜111円台は延べ取引日数がそれぞれ100日を越えるなど、かなり取引の多い価格帯が続いていることも見て取れる。

当コーナーで以前に「価格分布帯」を取り上げた際にレポートしたが、過去に「取引の多かった価格帯」はレジスタンスやサポートなどの節目になり易く抜けることが容易でない反面、「取引の少なかった価格帯」はあまり長期間留まることが予想し難くアッサリと抜ける傾向がうかがえることで知られている。

それからすると、求心力の極めて高い108円台を中心に、足元のレベルを含む104〜111円台というややワイドなゾーンを抜けるには、かなりのパワーが必要であるとも言えそうだ。

別の言い方をすれば、「あと出しジャンケン」のようで気が引けるけれども、先日超えてきた110円というレベルに特別な意味はなかったことになる。108円半ばで上げ渋る一方で、110円は意外にアッサリ抜けた感があるのは、「価格分布帯」からすると、当然の結果といえるかも知れない。むしろポイントになるのは、その上のレベル111円台(あるいは台替わりとなる112円)で、今後はそのレベルをいかに越えていくかが注目されることになるだろう。

いずれにしても、過去の取引が多く、高い求心力を誇る104〜111円台を容易に越えられないと考え、しばらくは足元を含むゾーンでの揉み合いが継続か。しかし仮に上抜けた場合、「価格分布帯」で見た場合112〜115円台は逆に商いが薄いため、予想外のスピードでスルーとなりドル高が進行する可能性を秘めている。
リスク要因として頭の片隅でも是非留めておかれたい。(了)



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