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2008年08月06日
◎8月ECB理事会注意、対面会議で思惑広がる
来月実施されるECB理事会が一部市場参加者のあいだで思惑を呼んでいる。
従来、8月に実施されるECB理事会は、「サマーバカンス・シーズン」ということもあり電話での会議。そのため、重要決定が行われにくいと見られてきた。ところが今年は電話ではなく通常通り対面での会議が実施される見通しで、参加者の警戒感を喚起させているようだ。
ECBは金利低下傾向のFRBなどを尻目に断続的な利上げに動いている。実際、今月3日に実施されたECBの定例理事会でも0・25%の利上げを実施している。
ただし、その一方でほぼ確実と見られた追加利上げ観測について、トリシェECB総裁は会見で「インフレは安定水準を上回っている」などとしつつも、「先行きの金融政策に関しバイアスはない」と発言し、マーケットの失望を誘っていた。そんなトリシェ発言を受けて、その日のユーロ/ドル相場は高値である1・59ドル台から1・56ドル台まで、200ポイントを越える急落をたどっている。
原油相場とともに欧米金利差がユーロ/ドル相場に大きな影響を与えるなか、マーケットでは次回8月7日のECB理事会は当初ノーマークだった。これは前述したように、基本的には電話による会議となるほか、また終了後のトリシェ総裁会見の席についても設けられないことが通例だったためだ。
ところが、今年は例外的にECBの理事会が電話ではなく、従来の対面方式で実施されるほか、トリシェ総裁の会見も実施される見込みとなっている。これでは今月初旬の会合でトリシェ総裁がややトーンダウンさせた追加利上げ観測に対する警戒感が再燃しても不思議はないだろう。
ちなみに、8月のECB理事会が電話ではなく対面方式で実施されることは異例ながら、「史上初」などというほど珍しいことではなく、実は過去にもなんどか実施されている。もっとも直近の例を挙げると、それは06年のケースで、その際は対面方式の理事会が開催されただけでなく、実際に2・75%から3・00%へと0・25%の利上げが実施されていた。
そう考えると、前例があるという意味も含めて来月実施されるECB理事会で利上げが断行されても決して不思議はないのかも知れない。(了)
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