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2008年07月30日
◎囁かれる米為替介入、大義名分乏しいが・・・
為替市場の一部で米国による市場介入への警戒感が高まっている。
直接的な要因は、今月16日にバーナンキFRB議長が発した「めったに実施するべきでないが、無秩序な市場が介入を正当化する可能性もある」などしたコメントだったが、それ以前から浮上しては消え、消えては浮上するという展開が続いている。
しかしながら、実際問題として米国が実弾介入を実施する可能性はどの程度あるのだろうか。取材に基づいた情報に、過去の事例を参考として加え、介入実施に必要な条件を考えてみると実は大きく3つある。
順を追ってひとつずつ説明すると、まずは一般投資家の方はもちろん、プロでもたまに勘違いしている方がいるのだが、FRBに限らず日銀やECBなどといった中央銀行は具体的なレートよりも価格変動にこそ注意をはらっていることだ。実際それは「過度の変動は好ましくない」---
などといったようなコメントが政府要人から多く聞かれることに、一端が示されているとも言えるだろう。
また、FRBが介入を実施する際の対象通貨として考えているのは、基本として対ユーロであるということ。これはユーロ/ドルが世界の為替市場において最大の取引量を誇る通貨ペアであるだけでなく、貿易においての結び付きが他国より強いということも影響している。
そして最後に日銀などとは違い、欧米の中央銀行によく見られるケースとして、「確実に勝てる」と思ったときしか介入を実施しない---という傾向もある。これについても別の言い方にすると、マーケットのポジションの偏りが顕著になってきたとき、ドル買い介入実施にはドルショートが顕著に蓄積されたタイミングを狙って実施されることが過去はほとんどだった。
前段までで指摘した3つの要因を参考にすると、現在の相場環境はいかがだろうか。過去との比較だけで考えると、市場介入を実施する「大義名分」は希薄であるように思う。
もっとも、その一方でサブプライム問題に端を発した米国の信用不安などは、過去のどの局面と比較しても深刻だとも言われている。過去実施してきた経験則などを曲げてまで、市場介入を実施する「サプライズ」は果たしてあるのだろうか?(了)
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