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2008年07月16日
◎苦戦強いられるHF、受難の時代まだ続く
「川上」の欧米金融機関に対する信用リスクが再燃していることもあり、「川下」に位置する欧米ヘッジファンド業界も苦戦を強いられている。
先日ダウジョーンズ社は、英系のヘッジファンド『エルジン・キャピタル』が旗艦ファンドの清算を決定、投資家に資金を償還する---などと報じているが、そうした動きは決して珍しくない。
金融機関からの融資が絞られた結果、今後資金繰りなどの面で苦境に立たされるファンドが相次ぐ可能性も否定出来ないだろう。
周知のように、サブプライムローン問題の余波などもあり、株式や為替といった金融市場における資金運用そのものが上手くいっていなかったが、「それも1〜3月のこと。4月以降は徐々に持ち直していた」(在米ヘッジファンド関係者)という。確かに、大手調査会社であるヘッジファンド・リサーチ発表のデータを見ると、ヘッジファンドに関する多くのベンチマークが4月以降プラスへと転じていることが見て取れる。もっとも苦戦していたクオンツ系や日本株投資型なども、リターンが回復傾向にあったようだ。
したがって、「やっと成績が持ち直してきたところ。もう少し猶予が与えられれば経営が立て直せた」(前述ファンド関係者)とも言えるが、貸し手サイドの金融機関は逆にそこまでの余裕がなかったということになるのだろう。
いずれにしても、パートナーあるいは投資家からの解約に加え、金融機関による「貸し剥がし」という予想外のパンチを受けて、一部ヘッジファンドが危機的な状況に追い込まれはじめている、との声も聞かれていた。まだ表面化している先はそれほどないが、今後の動向が注目されるところだ。
一方、そうしたマーケット環境を受けて、新規のヘッジファンドを立ち上げる動きも手控えられている。ちなみに、前述したヘッジファンド・リサーチによると、07年に新設されたファンドはわずか1150本ほどで、05年のピーク時からほぼ半減しているとされるが、今年は昨年よりもさらに減少するとの見方が有力だ。そして、倒産あるいは閉鎖するファンド数は右肩上がりとなっている。
個別はともかく大勢でいえば、ヘッジファンド受難の時代はまだしばらく続く可能性がある。(了)
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