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2008年06月11日
◎FRBの人事停滞、理事数は「7分の4」

日本の国会における同意人事が注目を集めている。
最大の関心は副総裁など日銀関係人事だが、大手全国紙などの報道を見ると人選は非常に難航しているようだ。今国会で新たな副総裁候補を推すことは難しそうだ。

一方、日本の情勢ばかり取り沙汰されるなか、実は米国においても人事の停滞は著しい。とくにFRB、日本同様に中央銀行においてそれは顕著だ。サブプライム問題でかじ取りが難しい米金融情勢に影を落としている感も否めない。

話を進める前に、まずFOMCにおいて金融政策の決定などについて簡単に解説すると、議決権を有する「ボードメンバー」は合計12人。うち7人をFRB理事(正副議長含む)が占め、残りの5人は持ち回りで地区連銀の総裁が担うことになっている。

5名の地区連銀総裁は現在ひとりも欠けていないが、一方のFRB理事は現在何人かご存じだろうか?
答えは正式には4名で現在暫定数5となっている。これは、今年の1月31日でクロズナー氏の任期が切れたものの、暫定処置として「後任が決まるまで」---の条件で同氏の退任を延長しているためだ。

しかし、そうした状況下、先日FRBから別途フレデリック・ミシュキン氏が今年の8月31日をもって理事を退任すると発表された。理由は明確にされていないが、14年1月末までという長期の任期を残しての退任であり、ミシュキン氏は元のコロンビア大学の教授として復職する予定だという。
ともかく、正確には7分の3、暫定数としても7分の4しかFRB理事が存在しないということになるわけで、異常事態と言ってよい。

こうなってくると、気になるのはFRBによる政策運営面だろう。FOMCという重要な意味を持つ金融決定会合も当然気になるが、別途気掛かりなのは取り敢えずヤマを越えたと見られるサブプライム問題に対する第2波が到来したときなど、不測の事態に対する対応だ。

自国の金融状況だけでなく、世界の金融界に影響を与えかねないということからすると、現在のFRBの不安定さを是正する必要があると思うのは筆者だけであるまい。早期の改善を期待したい。(了)



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