TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2008年06月04日
◎G7の100日ルール、欧米金融機関正念場へ

今月21日、有力新聞であるウォールストリート・ジャーナル(以下、WSJ)紙が、「米系の金融機関が第2四半期決算で追加損失を計上する可能性を示唆」し、金融市場で思惑を呼ぶ結果となった。為替市場では、報道がドル売りの要因として捉えられていたようだ。

さて、そんな前記したWSJ紙の報道について、「なぜいまさら」という疑問を抱く向きもあるようだが、これには今年の4月に実施されたG7(主要7ヶ国財務大臣・中央銀行総裁会議)の声明が大きく寄与している感は否めない。

G7 声明をよくよく見ると、そのなかでサブプライム問題に対する個別対策についての実施期限を「100 日以内」と「年内」と2 段階にわけて明示していることが見て取れる。このうちの前者部分を、市場ではいわゆる「100 日ルール」と呼んでいるわけだが、ともかくG7から100 日以内に「複雑な証券化商品や銀行が簿外に持つ特別運用会社などについて、情報開示の拡充」が強く求められている。

そうした視点からすると、先のWSJ紙が報じたように「第2四半期、4〜6 月期の決算」がポイントとなりそうで、時間的な余地としては残り1 ヵ月強、ありそうであまり猶予のないというタイミングへ入っている。かつて台頭していた根拠のない楽観論が足元において完全撤退していることは、ある意味で必然だった気もしないではない。

一方で、金融市場を振り返ってみた場合、「100 日ルール」の適応により具体的にどんな影響が予想されるのか。

まず考えられることは、一段のリスク資産圧縮ならびに厳格な決算内容を組む必要のある欧米の金融機関がヘッジファンドなど投機筋に向けた信用枠を絞った結果、国内外の金融市場で運用されていたポジションの巻き戻しが加速する可能性があることだろう。
これは、日経平均など米国以外の株式市場にとっての下押し要因になるだけでなく、為替市場にとっては従来とは逆にドル買い、ドル高の要因になりかねない。

ともかくここからしばらくは、欧米の金融機関を中心としたサブプライムローン問題に関する発表や報道などには是非とも注意を要したい。報道などを受けて、金融市場が荒れ模様の展開をたどる可能性も否定出来ないだろう。(了)



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved