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2008年05月14日
◎露系銀行の動意再び、相場の撹乱要因に

去年の3月、筆者は当コーナーで「久しぶりに出てきた投機筋らしい投機筋」---などとして、あるロシア系銀行を取り上げたことがある。

その後、諸事情があり一度動意が途絶えたものの、ここ最近の相場で再び活発な動意を示しているようだ。ロンドン市場の早朝に掛けて、ポンドやユーロを中心に大玉を振ることも少なくなく、マーケットの撹乱要因となっている。

「投機筋」とひとくくりにした場合、一般の方はいったいどんなイメージを持たれるのだろうか。
まず浮かぶのはおそらくヘッジファンドと推測され、また潤沢な資金を有するオイルマネー、あるいは最近流行りの「SWF(=政府系ファンド)」などを思い浮かべる方も少なくないだろう。
もちろん、それらも有力は投機筋であることに間違いはないのだが、それとは別に昨年ぐらいから東欧やロシア系の銀行が有力投機筋として市場で名を馳せることが少なくない。

そんな東欧やロシア系の銀行の取引は、かつて一世を風靡したヘッジファンドとかなりの部分で異なるようだ。

懇意にしているベテランディーラーによると、「かつてのヘッジファンドなどは誰が取引しているのか判らないように目立たないことを主とする取引をしたものだが、ロシア系の銀行はまったく逆。実施した売買を市場に知らしめるような取引の仕方が少なくない」という。したがって、取引をする時間帯はマーケットの商いが薄くなる時間帯、具体的には「ロンドンタイム早朝」などやや流動性が枯渇するタイミングを狙ってくることが多い。
その結果、マーケットの値動きは当然荒くなり、「死傷者」が続出することになる。もちろん、為替市場は「ゼロサム」の世界で、誰かが儲ければ、別の誰かが損を出すという世界。全員が儲かり、「オールハッピー」---などということはありえない。

しかし、ロシア系銀行のあまりに露骨なやり方がカバー先の銀行からも顰蹙を買い、手法に問題があるとされた結果、一時は取引停止状態となっていた。
ところが、「謹慎期間」が明けたのか、ここ最近は為替市場で動意が再び目に付くようになっている。取引をされる個人投資家もリスク要因として頭の片隅にでも是非留めておいて欲しいと思う。(了)



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