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2008年05月07日
◎日本の財政破綻、100年後で6割

いささか旧聞になるが、3月26日付けの日経新聞「経済教室」で興味深い試算が取り上げられた。
それは日本の財政維持に関するもので、結論だけを指摘すれば「100年後の破綻確率は6割」---にも達するという内容だった。

これそのものも驚きだが、実はこの試算、もっとも楽観的なシナリオがベースになっているというのだ。こうした話を聞くと、株式市場における日本株買いや為替市場において「日本円を買って良いのか」という素朴な疑問を感じなくはない。

試算は、櫻川昌哉慶応大教授と細野薫学習院大学教授の共同によるもの。
政府の目標値に沿って、まず今後の平均的な実質成長率と基礎的財政収支を設定。次に成長率と整合的な金利を算出したうえで、将来のGDPと債務残高をシュミレーションしたという。そして、100年後の債務残高の分布を描き、それが現時点を上回り維持が不可能になる割合を「破綻確率」として算出している。

ひとくちに「政府の目標値」といっても、毎年微妙に変化しているわけだが、今年1月に公表された見通し(08年試算)をベースにすると、実に62%の確率で財政は破綻することになるという。ちなみに、両氏は毎年この試算を続けているが、それによると昨年の破綻確率は44%だった。つまり、1年前よりも18ポイントも破綻確率が上昇したことになるわけだ。
紙幅の関係もあるので、何故こうした結果になるのかについては省くけれども、ともかく日本の財政は確実に悪化しており、長期的に見た場合には破綻の可能性が急速に高まっていることは間違いない。

そんな日本における財政再建は当然重要な問題。言うまでもなく出来るだけ早い段階で抜本的な見直しが必要だが、それとともにもうひとつ問題がある。両教授も指摘しているが、それは日本の財政破綻の確率が高まっていることが債券市場にまったく織り込まれていないということだ。これは不思議でならない。

鈍感であるのか、それも先行きを楽観的に考えているのか見方は分かれるところだが、いずれにしても試算からすると日本の国債は到底買えないように思われる。また長期スパンで考えた場合、為替市場における円買いも同様だと思うのだが読者貴兄の意見は如何に?(了)



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