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2008年04月16日
◎フラット為替消滅、輸入企業もダメージ
大手全国紙などでは、輸出企業の為替先物予約取り遅れならびに円高ダメージばかりが取り沙汰されているものの、実は一部輸入企業がそれを上回る危機的な状況に追い込まれている。
そうした背景のひとつは、「フラット為替」と呼ばれる超長期為替予約の消滅だ。
ちなみに、「フラット為替」とは日米の金利差を利用し、5年や10年といった超長期の為替予約を、前もって手当てしまう手法のひとつ。通常であれば期間が長くなればそれだけ安くなる為替予約を「フラット」という言葉が示すように、すべて期間で同じディスカウントが使用されるところが大きく異なる。
すなわち、同一のディスカウントでならした結果、1年後も5年後も10年後も同じ為替レートで為替先物予約が実施出来るということになるわけだ。
・・・このように書くと、「フラット為替」のメリットは非常に大きいように感じるだろうが、「ハイリスク・ハイリターン」のような言葉があるように、良いことずくめ、メリットだけの手法などはあり得ない。そこはやはり表裏一体で、メリットがあれば当然デメリットもある。
では「フラット為替」における最大のデメリットはなにかと言うと、図らずしも今回露呈した消滅の危険性を孕んでいると言うことだ。
これはどういうことかと言うと、「フラット為替」には通常通貨オプションを利用した付帯条件がついている。例を挙げると、「今後5年間は1ドル=90円の均一でドル買いが出来る」という条件の前提として、別途「ただし今後5年間のうちに一度でも1ドル=100円を割り込んだ際には、前段の条件は無効」---とするようなものが付随している。したがって、本来であれば輸入企業にとって望ましい「円高の進行」が、「フラット為替」の利用者にとって逆に鬼門になりかねない。
そして、複数市場筋からの情報を総合すると、そんな「フラット為替」の一部がドル/円相場が一時100円あるいは98円などを下回ったことにより、消滅の条件に抵触したようだ。
それにより、手当てしたはずの長期予約が消滅、原油や穀物など輸入価格の高騰に加え、為替面においてもダメージを被りダブルパンチをうける先が今後出てきかねない。(了)
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