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2008年03月19日
◎米景気後退待ったなし、雇用悪化は危機的状況
先週末に2月の米雇用統計が発表された。そのなかで市場参加者にもっとも注視されていた非農業部門雇用者数はマイナス6・3万人となった。これを受けて一時ドル売りが進行したわけだが、目先底値から急反発に転じるなどそうした意味で影響は限定的なものに留まった。
しかし、非農業部門雇用者数の「マイナス6・3万人」という数字は非常に重大であり、もっと重く受け止める必要があるように思う。今回発表された雇用統計で米国のリセッション(景気後退局面)入りはかなり際どいところまできた感を否めない。
改めて指摘するでもなく、数ある経済指標のなかでも米雇用統計は、平素より為替を中心とした金融市場でもっとも注視されている指標だ。しかし、今回は別の観点から一部市場筋のあいだで大きく注視されていた。もう少し具体的にいえば、非農業部門雇用者数が前月比でマイナスとなるかどうかが大いに注目を集めていたようだ。
これは何故かというと、米国が景気後退に陥るパターンに、「雇用者の減少が3ヶ月以上継続する」ことが挙げられることによる。そして、周知のように先月発表された1月の雇用はプラス予想に反し、前月比マイナスの数字が発表されている。つまり、今回発表される雇用統計・非農業部門雇用者数で2ヶ月連続のマイナスが確認されれば、米リセッション入りの可能性がグッと高くなる。
そんな注目の米雇用統計が先週末に発表され、非農業部門雇用者数はマイナス6・3万人となった。前述したリセッション入りが確認される3ヶ月連続にはまだ届かないが、それでも2ヶ月連続で雇用がマイナスとなった意味合いは決して小さくない。
筆者が「もっと重く受け止める必要があるように思う」と前段で指摘したのは、そういう意味だ。
もっとも、そうした反面、今回の雇用統計では失業率が前回の4・9%から4・8%へと0・1ポイント改善されており、それが弱気見通しにわずかに歯止めを掛けている面もある。
2月のデータが先日発表されたばかりながら、来月発表される3月のデータがリセッション入りを最終的に見極める決定打となるのかどうか、マーケットの一部では早くも注意を要する声が聞かれているようだ。(了)
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