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2008年03月12日
◎米景気は後退局面へ、経済指標は軒並み悪化

いわゆるサブプライム問題は米系金融機関やその傘下のヘッジファンドなどに巨額なダメージを与えたほか、モノラインと呼ばれる金融保証会社の業績にも大きな爪あとを残した。
まるで巨大な台風が過ぎ去ったあとのように、そこここで様々なダメージを被ったわけだが、そうしたなか米景気に対するダメージはというと取り敢えずは住宅部門の落ち込みだけに留まってきた。

しかしここにきて、若干のタイムラグをともなう格好でリセッション(景気後退局面)入りする懸念が全体的なところまで広がってきた感を否めない。

実際、先週発表された米経済指標を幾つかピックアップすると、2月の消費者信頼感指数は75と予想を大きく下回る結果で、03年以来の低い数字を記録している。また、1月の新築住宅販売件数は95年2月以来となる低い数字、第4四半期GDP改定値も前期比年率0・6%で予想を下回る速報値横這いだった。

一方、雇用に関しても気になるデータは少なくなく、先週木曜日に発表された週間ベースの新規失業保険申請件数も予想を大きく下回る内容に留まっている。

そんな国内景気の低迷、リセッション入り懸念も当然問題ではあるのだが、米国の場合にはそれに加えてさらに難しい問題がある。それは、1月卸売物価指数が前月比1・0%で、81年以来の高さになったことに示される高インフレ、物価高が継続していることだ。

つまり、先の2つの要因を併せて考えると、現在の米国は「景気後退が予想されるなか物価が上昇している」---ということで、これはスタグフレーションの兆候になる。本当にそうなのかどうか、今後も発表される米経済指標には引き続き注意する必要があるだろう。

なお、そうしたなか2月26日のコーンFRB副議長に続き同月27、28日と議会証言を実施したバーナンキFRB議長は「追加利下げ」を示唆するコメントを発している。若干の余談も含むが3月に実施される米利下げは0・75%になるとの声も市場の一部からは聞かれ始めているようだ。

ともかく通貨当局であるFRBは景気かインフレか、どちらを優先させた方策を取っていくのか今後難しい選択を迫られることは間違いない。(了)



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