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2008年02月27日
◎注目の国会同意人事、とくに次期日銀総裁

日銀の次期総裁をめぐる人事で、与野党の協議が紛糾している。各種報道だけでなく筆者の取材でも、武藤副総裁の昇格がほぼ規定路線ではあるものの、まだわずかに押し切れない要因もくすぶっているようだ。

武藤副総裁の総裁昇格説はかねてからそこここで噂されていたが、先月31日に毎日新聞が「日銀総裁・福井氏の後任、武藤敏郎副総裁が就任へ」と報じ、金融市場においても物議を醸すこととなった。ちなみに、その日は町村官房長官など与党サイドが「まだなにも決まっていない」と否定に動いたこともあり、一旦火消しされたものの、今度は今月9日の読売新聞が1面で「日銀武藤総裁で最終調整へ、副総裁に白川京大教授」---と報じている。しかもその記事のなかでは「15日にも国会に提示する方向で最終調整に入った」と具体的な日付まで明示されていた。

若干の余談をいえば、この読売新聞の記事に町村氏が激昂、週明け12日の記者会見で「(日銀総裁人事について)報道されれば、ただちに政府のリークとみなされる。今後私はこの件について一切答えない」---などと強い不快感を示している。

与野党とも総裁不在という空白期間を作りたくないとの認識では一致しているほか、民主党サイドも「武藤氏が必ずしも悪いと言うわけではない」が、大蔵省(官僚)OBという点にこだわる向きはいまだに少なくないようだ。
いずれにしても、残り少ない時間のなかで、如何なる落とし所をみるのか、続報などには是非とも注意を要したい。

さて、そんな国会の同意が必要な、いわゆる「同意人事案件」でもっとも注視されるものは前記した日銀総裁だが、それ以外でもなかなか重要なものが少なくない。
日銀総裁を除く部分で個人的にとくに注意している人事は、人事院総裁と預金保険機構理事長だ。前者は4月4日、後者は6月23日に任期が切れるのだが、これまでの慣例でいえば郵政OBと大蔵省OBがポスト一番手と言われている。事実、過去の経緯を見るとともに官僚OBの就任が少なくなく、とくに前者については48年に人事院が発足して以来民間出身による総裁 はまだひとりも出ていない。

ともかく、そんなこともあり、任期切れを視野に入れつつ、与野党の攻防は今後さらに激しさを増す可能性がある。(了)



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