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2008年02月13日
◎ソシエテ巨額損失、個人ベースでは過去最大級
フランス系金融大手の『ソシエテ・ジェネラル』がトレーダーによる不正取引で49 億ユーロもの巨額損失を被ったことが明らかになった。
古くからマーケットに携わってきた向きにとっては、現在に至るまでこうした不祥事は幾つも目にしているけれども、今回の事件で特出していることは2つある。そのひとつは損失金額の大きさで、もうひとつはチェック体制の甘さだ。後者については、新聞などでも論調されているように、「なぜ巨額損失を隠し続けられたのか」---という疑問がないでもない。
私事で恐縮だが、筆者は業界歴15 年になる。そのわずか15 年のうちでも、今回のような「個人トレーダー」による巨額損失は何度か目の当たりにしてきた。
もっとも記憶に残っているものは、95年に発覚したニック・リーソンによる損失だろう。覚えている方もいると思うが、ジョージ・ソロス氏が「イングランド銀行を打ち負かした男」なら、ニック・リーソンは「ベアリングス銀行を倒産させた男」---として知られている。リーソン個人の負った損失が引き金となり、英系の名門であったベアリングス銀行は、ついに潰れるという憂き目にあったからだ。
そんなリーソンの損失について大手情報会社であるブルームバーグのデータを参照してみたら、その損失は14 億ドルとなっていた。現在の価値(1 ドル=107 円)で日本円に換算すると、約1500 億円。もちろん、想像を絶する大きな金額ではあるのだが、今回発覚したソシエテ・ジェネラルのケースは49 億ユーロで、それを同様に円換算(1 ユーロ=158 円)すると、およそ7700億円を越える。単純比では、前述したリーソンのケースの5 倍以上の損失を被ったことになる。
まったくの余談だが、筆者は当初「想定元本が49 億ユーロ」と思い込んでいたのだが、そうではなく「損失」が49 億ユーロだったとは半端な金額ではない。
ちなみに、98 年に発生した、あの大手ヘッジファンドである「LTCM破綻(ロシア危機)」でさえ40 億ドル(1 ドル=107 円、約4300 億円)であったのだから、「個人ベースの損失では過去最大ではないか」---との声が聞かれることも、ある意味当然と言えるだろう。(了)
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