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2007年12月26日
◎にわかに高まる政府系F設立論議

日本政府主導による「政府系ファンド(SWF)」の設立について、にわかに動きが激しくなってきた。一部報道によると、今月5日、自民党の有力国会議員が「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」---なるものを旗揚げ、「政府系ファンド」設立に向けた準備段階に入ったという。

個人的な見解を述べれば、実現の可能性は低いと考えるものの、周辺を取材した限りでは、これまでとは違い、かなりの「本気モード」で問題に取り組んでいる感もうかがえる。

「政府系ファンド」とは、潤沢なオイルマネーを原資とした中東やシンガポールなどでは以前から存在していたが、ここ数年は中国をはじめリビアやロシアなど、世界各国で雨後のタケノコのように相次ぎ設立されている。最近の動きだけをみると、世界の潮流といってもよく、日本も時勢に乗ろうという姿が見て取れる。議論が活発化している背景のひとつとなっていることは間違いないだろう。

ちなみに、すべてではないが、「政府系ファンド」の運用資産はおおむね膨大。事実、そのトップと言われる『アブダビ投資庁』の場合、6000億ドル(約67兆円)もの資産規模を有していると言われている。これは大型のヘッジファンドなどでも到底太刀打ちできない金額ということになる。

しかし、日本における「政府系ファンド」設立は賛成論ばかりではない。まず財務省は、強固な反省姿勢を見せている。加えて、政府・与党内でも慎重派は決して少なくないようだ。実際、今月7日に額賀財務相は「外為特会は為替安定のため、流動性や安定性が基本。リスクを背負って運用していくことに馴染まない」と述べたほか、10日には福田首相が「市場を混乱させる要因になりうるため、あまり急激に運用することは出来ない性格のもの」などと、やはり消極的な見方を示している。

そもそも論としていえば、日本が「政府系ファンド」を設立する場合、外貨準備が形を変える格好で保有されている米短期債を売却することになるわけで、米国の容認を得られるかどうかという疑問もある。
実現は困難であると思うし、またそこに至るハードルが高いことも事実だが、如何なる議論が繰り広げられるのか、今後とも動向には注意をはらいたい。(了)



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