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2007年12月05日
◎ドル安・円高が進行、輸出企業のダメージは?
ドル/円相場は110円を割り込んだあとも下げ止まらず、先週末には一時107円台まで大きく値を下げてきた。そうした状況を受けて、マーケットでは輸出企業の為替ダメージを懸念する声が少なくない。実際、株式市場においても「輸出関連銘柄」と言われる自動車株などが弱含みに推移している姿が見て取れる。
自動車最大手トヨタの場合、1円の円高が進行すると営業利益ベースで350億円のダメージがあると言われている。また、同じく自動車大手のホンダは同200億円、精密機械大手キャノンは同90億円---の業績下方修正要因になるという。
一方で、各社が発表した今年度下期(10〜3月)の社内想定レートはと言うと、前述したトヨタが110円とするなど、おおむね110〜115円に集中している。単純計算すれば、足元の円高で各社とも数百億円から1千億円程度ものダメージを被る可能性を否定出来ないことになる。
為替市場の動向が大手を中心に輸出メーカーの業績を左右しかねない重要なファクターであることは間違いないものの、ドル安・円高によるダメージは依然に比べるとかなり後退している。上記したほどのダメージを受けることはなさそうだ。
95年に未曾有の円高、79・75円を示現したという展開を経るなかで、各社ともかなりの「抵抗力」をつけている感が見て取れる。
上記のように、多くの輸出企業において、「円高抵抗力」がついた背景は大きく2つあるだろう。
ひとつは、海外現地生産の比率を増やしたり、逆輸入による調達を増やしたりしていること。その結果、一般的にはいわゆる「輸出企業」と認識される大手企業が、すでにそう呼べないような状況に陥っているという実例も存在している。
もうひとつの要因としては、米国あるいは北米圏の輸出から、欧州に向けへと輸出先をシフトさせている企業が少なくないことだ。つまり、ドル/円の動向よりユーロ/円やポンド/円の動きが業績により反映されるという先もいまでは珍しくはなくなった。そして足元はと言うと、ドル/円は年初来安値に近いレベルで推移しているものの、一方ユーロ/円などは逆に年間を通じて見た場合にはいまだ高値圏にある。これでは業績の下方修正要因となりにくい。(了)
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