TOP
コラムTOP
最新コラム
バックナンバー
2007年11月21日
◎FASB新会計導入、市場の波乱要因に

サブプライムローン問題に関しては、最初のヤマこそ越えた感があるものの、次から次にヤマが存在しており、次々と悪材料が噴出するという事態に陥っている。ごく一部だけをピックアップしても、先週木曜日に米系大手証券の『モルガンスタンレー』がトータル37億ドルにものぼるサブプライム関連の評価損を明らかにするなど、まさに枚挙に暇がないほどだ。

その理由は幾つか挙げられており、ひとつには『ムーディーズ』などの有力格付け機関が次々とサブプライム関連の証券を格下げしていることがまずある。また大手金融機関などが運営する「SIV」と呼ばれる運用会社における損失は簿外であるが、それが本体の金融機関に与える悪影響が徐々に懸念されているという面も否めない。

そうしたなか、新たなヤマとして注目されているものが、今週15日から実施されるアメリカ財務会計基準審議会(FASB)の新たな会計規則「ルール157」だ。
FASBでは資産をレベル1から3まで区分しており、今回の対象はそのうちのレベル3となる。ではレベル3とはどんな資産かと言うと、「客観的には論証できない基準」、つまり評価計算が非常に難しい資産がそれにあたる。別の言い方をすると、現在マーケットで問題となっているサブプライム関連の資産がまさに適応するわけで、「ルール157」が厳格に適応されるとなると、それら資産の評価額が大幅に引き下げられることは確実な状況だ。

ちなみに、その「ルール157」について、今月7日英系の大手銀行である『RBS』では「業界全体で1000億ドルの資産評価引き下げが実施される可能性がある」---などといったショッキングな分析レポートを発表している。さすがに1000億ドルの資産引き下げは大き過ぎる気もするが、たとえその10分の1の規模に留まったとしても100億ドル、非常に大きなものとなることは避けられそうにない。

何度目の「正念場」であるのか不明だが、ともかく米系銀行などにとっては第4四半期の決算でかなりのダメージが表面化する可能性もある。
マーケットが正常化に戻る際の「生みの苦しみ」ではあるものの、短中期的にはマーケットの波乱要因になりかねないように思っている。(了)



Copyright (C) 2004 fx-newsletter All Rights Reserved