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2007年11月14日
◎解決まで時間要するサブプライム問題

一時期はかなりの安心感もうかがえたサブプライムローン問題について、警戒感が再燃している。

端を発したのは、先月15日の米『シティバンク』四半期決算発表あたりだろうか、再び怪しげな雲行きを醸し始めている。実際、今月2日の米ウォールストリート・ジャーナルでは「米『メリルリンチ』がMBS(住宅ローン担保証券)絡みの損失先送りでヘッジファンドと取引か」と報じているほか、同じ日に英『バークレイズ』に資金繰りの噂が台頭したという。また、その後も『ゴールドマン・サックス』や『モルガン・スタンレー』など他の大手金融機関でも同様の噂が聞かれている。

サブプライムローン問題は、なかなか実体あるいは全体像が判りにくいため、損失処理にはかなりの時間がかかると言われている。そうした意味でバブル崩壊後の日本の不良債権問題と良く似た構図であると言えるわけだが、肝心の米国においても80年代後半に似たような「事件」が起こっている。それが「S&L危機」だ。ちなみに、当時の「S&L」危機により、全米で3000もの金融機関が破綻。また破綻処理コストは邦貨に換算し20兆円を越えたとも言われている。

紙幅の関係もあるため、詳細は省くが、全米を巻き込んだ一大事件だったことは間違いない。では、その収束は如何にしてつけられたのだろうか。
ひとつは1300億ドルを越える税金の投入であり、また91 年には「連邦預金保険公社改革法」が成立し、早期是正措置が導入されたことも事件収束に寄与していた感は否めない。

しかし、もっとも必要であったのは時間であり、結局長い時間をかけて徐々に傷を癒した格好にあると言ってよいだろう。諸説はあるものの、S&L危機が終了したと言われるのが93年ごろで、これが確かだとすると発生から処理までにおよそ10年の年月を要したことになる。

これは日本のバブル崩壊あるいは不良債権処理についてもほぼ同様だった。この手の問題に早い段階での解決方法はないのかも知れない。今回のサブプライムローン問題についても、基本的には解決までやはり長い時間がかかることは間違いないように思っている。(了)



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