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2007年11月07日
◎囁かれるECB介入、実現の可能性は如何に
先日実施されたG7でユーロ高是正の合意がなされることはなかった。しかしながら、ユーロの実質的な価値を示す通貨実効相場、ECBインデックスが依然として史上最高値圏に張り付いているなど、欧州としても簡単に容認出来るレベルでないことは確かだろう。
そうしたなか、マーケットの一部ではECBによるユーロ売り介入の可能性が徐々に取り沙汰はじめた。事実、G7終了後の先月23日にECBのスマギ理事は「ECBは秩序を保つため市場に介入する用意がある」---と発言している。
前記したような実効相場を含めたレベルや変動率からすると、確かに介入実施の「資格」は十分に備えている。
しかし、そんなECBの市場介入、知らない方が意外に多いのだが、同じ中央銀行とはいえ実は日銀やFRBなどと異なる点が幾つもあり、実行に移すまでにクリアすべき関門が少なくない。実現はそう簡単でないようだ。
たとえば、ECBも当然のように外貨準備高を保有している。それは1400億ユーロを越える規模だが、自身で保有している資金は300億ユーロ程度にしか過ぎない。残りの1100億ユーロはドイツ連銀などユーロ圏の中銀が分散して保有しており、同時にそれの中銀が運用も行なっている。
また、介入実施のタイミングなどについての権限はECBに委ねられてはいるものの、一方でEU財務相が「為替の方向性を決める権限を保有している」ため、ECBはEU財務相とある程度の協議をすべき立場にあると言われている。
ちなみに、今回噂されている市場介入がユーロ売り方向であるため、前者については直接的な関係がない。しかし、それでも例を挙げた2つからECBが単独かつ機動的な対応を取りにくいというイメージは判っていただけるのではと思う。
ただし、ECBがかつて介入を実施したことがなかったのかというとそうではない。筆者の知る限り、過去に2度介入は実施されている。また、そのいずれもがユーロ買い・ドル売りだった。
前述したように実施が難しくはあるが、決して「抜けずの宝刀」ではないのだろう。「宝刀」がいつ抜かれることになるのか、その危険性についてキチンと認識だけはしておきたい。(了)
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