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2007年10月24日
◎サブプライム余波で米地銀が相次ぎ破綻
今月はじめの米雇用統計が良好な内容になるなど、発表される米経済指標はなかなかの好数字になるものが少なくない。またNYダウなど米株が史上最高値を更新している状況ということもあり、マーケットではサブプライムローン問題がすでに「忘れ去った過去の問題」---となっている感も否めない。
しかし一方、日本でいう「地銀」クラスだが、米国では密かに銀行の破綻が2行続けて起こっている。大手金融機関への波及的影響は不明。ただ、あまりに楽観ムードが支配的なだけに、リスク要因として一応の注意だけは払っておきたい。
米オハイオ州の金融監督当局は今月はじめ、同州に本拠を置く州立銀行の『マイアミ・バレー・バンク』が破綻したと発表した。ちなみに同行の総資産は8670万ドル。
今回発覚した米銀の破綻だが、実は少なくとも2つの興味深い事象を含んでいる。
ひとつは、04年6月以来3年近くも起こっていなかった「米銀の破綻」が『マイアミ・バレー・バンク』を筆頭に今年だけで3件起こっていること。それも、9月末と10月はじめ、この1ヶ月も経たない間に2件立て続けに起こっていることは非常に気に掛かる。
また、もうひとつは『マイアミ・バレー・バンク』の破綻の原因が、いわゆるサブプライムローン問題であったことも興味深い。同行のケースをいま少し詳細に見てみると、貸し出しに対する延滞率が10%を越え、今年1〜3月には13%近くまで上昇。損失の補填についてはなんとか対応したものの、最低必要な自己資本比率の維持出来なくなり、金融当局の破綻認定となった。
ご存知の方も少なくないと思うが、80年代後半の日本のように、米国でも住宅ブーム(バブル?)に沸いた結果、サブプライムを含めた住宅関係の融資に手を染めた銀行は決して少なくない。とくに、州立銀行など「地銀」クラスは、大手金融機関の住宅投融資に対抗するためサブプライムローンのような信用力の弱い融資案件に数多く手を出していた。
それからすると、今回の『マイアミ・バレー・バンク』などの破綻は序章に過ぎず、今後さらに地銀クラスの破綻が続く可能性を否定出来ないかも知れない。(了)
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