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2007年10月03日
◎佳境を迎えたIMF専務理事選
IMF(国際通貨基金)のトップである専務理事選が佳境を迎えている。
ご存知の方が多いと思うが、IMFは46年3月に設立され、現在の加盟国は185ヶ国。外国為替市場の安定を図るとともに、金融危機などに陥った加盟国への経済支援や緊急融資を行なう国際機関だ。
IMFのトップである専務理事は、初代のグット氏から現在のラド氏まで60年の歴史で9人を数えるが、全員が西欧出身者。ちなみにIMFのトップが西欧出身者であるのに対し、世界銀行のトップは米国出身者---となることが44年ブレトンウッズ協定以来の「慣習」となっている。
そんなIMFの現専務理事であるスペイン出身のラド氏が今年6月、「家庭の事情」を理由に辞意を表明したことを受け、次期専務理事をめぐる争いが俄に勃発した。立候補は8月末で締め切られたが、その結果2氏の立候補が確認されている。すなわち、本命とされるストロスカーン元仏財務相と対抗のトショフスキ・元チェコ首相だ。
2氏のうち、ストロスカーン氏が本命とされる理由は、まず欧州連合(EU)が推薦をしていることに加え、先ごろ米国も支持を表明したことがある。IMF理事会の投票権は加盟185ヶ国が平等になっているわけではなく、出資割合に応じて米・日・独・仏・英---上位5ヶ国で約40%を占める。うち、日本だけは態度を表明していないものの、それでも残りの4ヶ国がすべてストロスカーン氏を支持していることは大きい。
それに対して、トショフスキ氏を明確に支持しているのは、まだロシアのほか数ヶ国に過ぎない。
そうなると、明らかにトショフスキ氏の分が悪いのだが、「追い風」もなくはない。
ひとつは前述したように、歴代専務理事が西欧出身者の「指定席」となっていることに対して、途上国などから根強い不満が聞かれること。実際、ブラジルやインドなどを含む途上国24ヶ国は今年7月に実施した財務相・中央銀行総裁の声明で「IMFは大きな試練に直面している。専務理事人事は改革の試金石になる」---などと非常に意味深なコメントを発している。
高い手腕を評価する向きも少なくないことから、土壇場での「うっちゃり」が決まらないとも限らないように思う。注意を要したい。(了)
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