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2007年09月26日
◎外資系プレミアム、円調達コストが上昇

外資系金融機関による円資金の調達コストが上昇している。
かつて、90年代後半のマーケットでは、「ジャパンプレミアム」と言われた通常の調達金利に上乗せされた邦銀向け金利が一世を風靡したことがあるが、ここ最近はそれと逆の現象が起こっているという。

ジャパンプレミアムをごくごく簡単に説明すると、外資系銀行などが邦銀に対するドルの調達金利を通常、別の外資系銀行などに貸し出すよりも高めに設定したことを言う。つまり、邦銀は外資系に比べて、金利の高い不利な条件でしか、資金を調達出来なかったわけだ。
90年代後半には『三洋証券』や『北海道拓殖銀行』あるいは『山一證券』など、日本を代表する大手金融機関が会社更生法を申請するという異常事態に陥ったことを受け、外資系金融機関が邦銀の財務状況などに強い懸念を持つと、その取引にも慎重になっていたことがジャパンプレミアムに繋がっていたのだろう。

翻り、最近の金融市場はというと、いわゆるサブプライムローン問題を受けた欧米金融機関の損失が相次ぎ報じられている。それに対して、まだ表面化されていないだけかも知れないが、日本の金融機関で巨額損失を被ったという発表は見られていない。唯一(?)『野村證券』が米国子会社において赤字750億円が発生した(6月までに償却済み)と公表したに留まっている。
したがって、実はここに来て外資系金融機関による円の調達コストがジワリと上昇しはじめている。平たく言えば、90年後半とはまったく逆の構図になりつつあることになる。外資系金融機関との取引に慎重になっている邦銀など予想以上に多いことの証左と言えそうだ。

取り敢えず幸運なことに90年代後半の日本のように破綻に陥る外資系銀行は、具体的にまだひとつも聞かれていない。しかし、問題が根本からキチンと解決されていない状況からすると、今後そうした事態が起こってもまったく不思議はないだろう。
いずれにしても、ここ最近の「外資系プレミアム」ともいえる現在の動きは、まだしばらく続くばかりか、さらに広がる可能性すら否定出来ないのかも知れない。(了)



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