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2007年08月22日
◎市場をジワリ侵食する米サブプライム問題
いまだに「大問題にならない」---などとする一部識者の楽観論も見られるが、米サブプライムローン問題はすでにマーケットをじわじわと侵食し始めている。それも一時安心感が広がったと思いきや、再び懸念が台頭するなどなかなかタチが悪い。
実際、米系証券『ベアスターンズ』による問題が一巡したかと思いきや、今度は仏系『BNPパリバ』系ヘッジファンド3本がサブプライムに絡んだ損失から償還を停止したと発表されたほか、米『ゴールドマン・サックス』傘下のヘッジファンドが多額の損失を抱えているとの観測はいまだに根強いものがある。
そんな個別のヘッジファンドなどに対する問題は当然残っているのだが、こうなってくるとサブプライムローンの問題が金融市場全体に波及する影響について、気をつけなくてはならない。そう思わせるところは多々あるが、もっとも気になる要因は先日突如顕在化したクレジットクランチへの懸念だろう。
ちなみにクレジットクランチとは、金融が極端に逼迫することを言う金融用語。つまり、金融収縮あるいは信用収縮のことを言い表したもので、もう少し噛み砕いて説明すると、通常よりも高い金利負担を覚悟してもなお資金の借り入れができなくなるような状況を言う。
それに対応するため、ECBは先週9日に臨時オペを実施。市場に948・41億ユーロもの記録的な額の資金を供給した。
また、NY連銀も同じ日に翌日物レポで120億ドル供給するなど合計240億ドルの短期資金供給を実施したほか、カナダが14・5億カナダドルの供給と同調する動きを見せている。さらに、翌日には日本そしてオーストラリアも同様の動きを実施した。
欧州と米国、そして日本やカナダなど各国中央銀行の連携もありクレジットクランチについての危機は回避され、懸念は取り敢えず払拭されたが、まだまだ予断は許さないだろう。
そもそも論とすれば、流動性の確保はマーケットの安心感を得る優れた方法だが、サブプライムローン問題に対する根本的な解決策ではない。
いずれにしても、今後新たな損失発生先があるのかどうかなど基本的なことを含め、関連するニュースなどには引き続き注意をする必要がありそうだ。(了)
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