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2007年08月08日
◎米議会で高まるヘッジファンド増税論

夏休み休会前の米議会においてヘッジファンドなど投資ファンドに対する増税議論が高まっている。

そもそも論とすれば、今年6月に民主党のボーカス、共和党のグラスリー両委員が上場するファンドを対象に収益の税率を現行の15%から35%へと引き上げるべき、との意向を示したことが口火を切る格好となった。

周知のように、米国の場合には15%は株式譲渡益への課税税率と同じであり、また35%は法人税率と同じもの。つまり、ファンドの税率は通常の法人よりも優遇されているわけで、提案したボーカスら2議員は「公正な扱い」を強調していることになる。
こうした背景には、先日株式公開で巨額の資金調達に成功した『ブラックストーン』を始めとする一部ヘッジファンドに対する「儲けすぎ」とのやっかみもあるのだろう。

そんな議会からのヘッジファンド増税議論だが、実は対応について真っ二つで意見の集約にまだ至っていない。たとえば、政権野党民主党の有力大統領候補であるヒラリー・クリントン氏やオバマ氏、エドワーズ氏などは増税に賛成との見方を示しているものの、同じ民主党の大統領候補でもドッド氏などは増税の慎重派だ。もちろん、これは民主党だけでなく政権与党である共和党でも同様で、決して内部が一枚岩で結束されているわけでない。

故なのか、という問題を問えば、ひとつには選出された地盤的な問題が挙げられる。一例を挙げると、ニューヨーク州選出でウォール街との付き合いが深い民主党のシューマー上院議員は増税反対の急先鋒とも言える存在だ。

また、それとは別にファンドから受ける政治資金が大きなものになりつつあるという側面も無視出来ない。とくに来年の大統領選に向けファンドから多大な政治献金を受けている後者が少なくなく、そのファンドに不利となる増税反対のスタンスを取りにくいという側面な否めない。
事実、米連邦選挙委員会に提出された資金収支報告書をベースに推計すると、民主党の大統領候補ではもっとも投資ファンドからの献金が多かったドッド氏は前述したように「増税の慎重派」。また共和党の大統領候補でも同じく献金の多かったジュリアーニNY市長らが増税に反対の意向を示していることに如実に現れているように思う。(了)



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