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2007年07月25日
◎英サブプライム問題、懸念される飛び火
一時期沈静化の様相を示していた米サブプライムローン問題が再び脚光を浴び始めた。その主因となったのは複数の米有力格付け機関によるアナウンスだ。
具体的には、今月10日に『S&P』が総額120億ドル規模のサブプライムローンを担保とする住宅ローン担保証券を格下げする可能性を示唆したのに続き、『ムーディーズ』はサブプライム絡みの証券399本を格下げすることを発表している。また、『ムーディーズ』はその翌日にもサブプライム住宅ローンで組成された債務担保証券(CDO)を格下げする方針---と報じられている。
ともかく、当事者にすると踏んだり蹴ったり。「寝た子を起こす」ような展開であり、引き続きマーケットの波乱要因として注意する必要があるだろう。
そうしたなか最近の一部マーケットで指摘され始めているものは、米サブプライムローン問題が他国へ飛び火するのではとの懸念だ。
米大手証券『メリルリンチ』のオニールCEOが先月末の講演で「サブプライム問題は、他国の債券市場の信用を減退させるものではない」と発言するなど火消し的なコメントは少なくないが、実は主眼はCDOを含めた債券マーケットについての話ではない。ある意味ではもっと直截的な住宅市場に対しての懸念ということになる。とくに英国の住宅市場に対する懸念は強く、現地筋からは米国の二の舞となり兼ねないとの悲観的な声も聞かれ始めている。
実際、英国の住宅動向はと言うと、米国同様に長らく「バブル」が懸念されてきた。と言うより、米国の中央銀行であるFRBが一連の利上げに踏み切ったのは04年6月だが、英国ではその半年前である03年11月に「住宅市場の過熱」を理由に、いち早く利上げに踏み切っている。つまり、英国の住宅市場は米国に先んじて「バブル」状態となり、中銀の断続的な利上げで幾らか落ち着きを取り戻しつつ、根本的な状況は変わらず。危うい綱渡りは現在まで続いてきたわけだ。
そんな英国住宅バブル、破裂を予感させる動きはここまでとくだん観測されていない。しかし米国の情勢を参考に、危険なタイミングを迎えつつあるということを頭に入れておいて損はないように思っている。(了)
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