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2007年06月13日
◎雇用ようやく「平時」に、早期利上げ観測も台頭

雇用情勢の悪化もあり、日本の失業率は長らく4〜5%ほどで推移してきた。02年6月には5・5%とバブル崩壊以降で最悪の数字を記録してもいる。

そうしたなか、5月末に総務省が発表した4月の完全失業率は3・8%となり、98年3月以来9年1ヶ月ぶりの3%台へと低下した。かなりの好数字と言ってよく、大田経財相が「4月失業率は内容みると大変いい形が現れている」と発言したほか、福井日銀総裁も「景気は息の長い拡大が続く可能性」と自信を見せたコメントを発しているのはある意味で当然と言えそうだ。

失業率が3%台に入ったということを日経新聞が「雇用は“有事”からようやく“平時”に」---などと報じているように、非常に深い内容を含む。
あまり耳慣れないが、「自然失業率」という言葉がある。ちなみに、経済学の本などを紐解くと、「いかなる政策などを用いても解消できない非自発的失業者の割合」などと解説されている。平たく言えば、国の成長率などから考えて、致し方ないレベルの失業で、理論的にはそれ以上下がりようのない最低レベルの失業率だ。
その自然失業率が日本の場合には3%後半から4・0%とされ、今回の失業率はほぼそれに合致する内容だったことになる。

それからすると、日本の経済情勢は予想以上に良好であり、日銀による早期利上げ観測を後押しするような内容であったと言えよう。
事実、一部マーケット関係者からは「参院選前、7月11〜12日の日銀金融政策決定会合で利上げ実施」の可能性を予想する声もパラパラと聞かれ始めた。

わずかひとつの指標が良好であったに過ぎず、個人的な見解としては、やや先走りの感があるように思うが、追加利上げに強い意欲を見せる福井日銀総裁など日銀内部に存在する一部の強気派にとってかなりの好材料であることは間違いないだろう。

このあと発表される日本の経済指標如何ではいまだ先送りされ続け、今年後半以降とも言われてきた政府の「デフレ脱却宣言」が再び前倒しで発表される可能性とともに、日銀の早期利上げ観測がさらに高まる可能性を否定出来ないように思う。(了)



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