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2007年05月16日
◎5月相場は荒れ易い、今年は円高要注意?

金融市場が名実ともに5月相場入りをした。
そんな相場動向を占ううえで、過去の5月相場を振り返ってみたところ、90年以降直近17年間の勝敗表は9勝8敗でほぼ互角となった。つまりドル高に振れるのかドル安に振れるのか、五分五分といってよい。明確な方向性は見受けられない。

しかし、一方で調べてみると、5月相場にはただひとつ興味深い事象がうかがえる。それは年間を通しても、かなり荒れ模様の展開を辿ることが少なくないということだ。
実際、昨06年と04年は年間3位、03年と05年は年間4位の変動を記録している。前記したように、とくに近年に大きく動く傾向のあることは興味深い。ドル高orドル安の方向性は別にして、足元5月のドル/円相場は意外に大きな値動きを辿る可能性を否定出来ないのかも知れない。

「方向性はともかく、5月の為替相場が荒れる」---というその理由は、幾つか考えられるがもっとも大きなものはヘッジファンドの中間決算要因だろうか。
これは言ってみれば、決算対策として「ドレッシング」の動きが強まることに加え、投資家からの資金返還要求などに備えて利益の乗っている資産を売却し、キャッシュ化する動きが5月は起こりやすいことによる。

とすれば、今年の為替市場で注意を要すべきは、これまで積極的に実施されてきたキャリートレードの巻き戻しだろう。
チャートを見れば一目瞭然なように、NZドル/円は直近安値から2ヶ月足らずで14%、豪ドル/円やカナダ/円もほぼ一本調子に近い格好で10%を越える上昇を達成している。また、ユーロ/円が一時163円台を示現するなど、導入後のユーロ最高値を更新していることは周知のこと。
そんな円やスイスなど低金利通貨を対象に実施されてきたキャリートレードが、今月末に掛けて、一気に巻き戻されても決して不思議はないように思う。

前段で指摘したように、5月相場の特性からすれば、基本的に「方向性に乏しい」ものの、今年に限れば円高方向に動くリスクがより高い、というイメージで個人的には捉えている。(了)



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